面接で「具体的に教えてください」は危険!採用力を下げる理由と改善方法

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面接質問の改善方法|「具体的に教えてください」が採用を失敗させる理由とは?

目次

この記事はこんな人におすすめです

  • 面接で「具体的に教えてください」とよく聞いてしまう採用担当の方
  • 応募者の回答がバラバラで、評価が難しいと感じている方
  • 質問の意図がうまく伝わらず、面接がかみ合わないと悩んでいる方
  • 採用活動に再現性や一貫性を持たせたいマネージャーや経営者
  • STARメソッドや構造化面接など、より良い面接手法を取り入れたい方

私自身、数多くの採用現場に関わってきた中で、面接の「質問の質」が採用結果に大きく影響することを実感しています。本記事が、面接改善のヒントになれば幸いです。

人事担当者が知るべき面接NGワード『具体的に教えてください』の問題点

面接や評価面談において、「具体的に教えてください」という質問を使用していませんか?一見すると詳細な情報を引き出せそうなこのフレーズですが、実は採用力を大幅に下げてしまう危険な質問なのです。

人材育成の現場で数多くの面接に関わってきた経験から、この質問がもたらす問題点と、より効果的な面接質問術について詳しく解説いたします。

「具体的に教えてください」が採用力を下げる理由

一見便利に見える質問の落とし穴

多くの面接官が「具体的に教えてください」という質問を使用する理由は明確です。候補者の経験や能力について、より詳しい情報を得たいと考えるからです。しかし、この質問は表面的には有効に見えても、実際には面接の質を著しく低下させてしまいます

問題の根本は、この質問が「何について具体的に知りたいのか」という論点を明確化していない点にあります。質問者側が聞きたいポイントを曖昧にしたまま、回答者に判断を委ねてしまうことで、双方にとって不利益な状況を生み出してしまうのです。

この質問の限定的なメリット

完全に否定的というわけではなく、「具体的に教えてください」という質問にも一定のメリットは存在します。

最も大きなメリットは、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を定義する主体性を測定できる点です。論点が不明確な状況でも、事前に共有されている求人広告や質問者の意図から論点を推測し、適切に回答する能力を確認することができます。

ただし、このメリットを得るためには、他にもより効果的な方法が存在するため、あえてリスクの高い「具体的に教えてください」を使用する必要性は低いといえるでしょう。

論点が不明確な状況でも、事前に共有されている求人広告や質問者の意図から論点を推測し、適切に回答する能力を確認することができます

「具体的に教えてください」の重大なデメリット

選考の再現性が低下する問題

最も深刻な問題は、選考の再現性が失われることです。同じ質問をしても、候補者によって解釈が大きく異なるため、評価基準が一定しません。

例えば、「営業経験について具体的に教えてください」という質問に対して、ある候補者は売上数字を中心に回答し、別の候補者は顧客との関係構築について語るかもしれません。質問者が求めている回答と候補者が提供する回答にズレが生じ、正確な評価ができなくなってしまいます。

この結果、評価軸がばらつき、組織として一貫した採用判断ができなくなります。優秀な候補者を見落としたり、逆に不適切な人材を採用してしまうリスクが高まるのです。

企業の信頼性損失リスク

企業の信頼性損失

さらに深刻なのは、企業の信頼性が損なわれることです。曖昧な質問を繰り返す面接官に対して、候補者は「この会社は物事を明確に定義できない組織なのではないか」という不信感を抱きます。

特に優秀な人材ほど、質問の質から組織の質を判断する傾向があります。ブラックボックス化した評価基準が横行している印象を与えてしまうと、候補者の入社意欲を大幅に低下させ、最終的に内定辞退につながる可能性が高くなります。

よくわからなかったが残すダメージ

実際の失敗事例:キャリアコーチング面接での体験談

実際に私が経験した事例をご紹介します。

シニアクラスのキャリアコーチングを主事業とする法人のコンペに応募した際の出来事です。その企業は転職支援ではなく、現在の環境でのステップアップを含めたキャリアコーチングが特徴的な役割でした。

面接官から「そういうことではなくて、具体的なエピソードとして説明してください」と返され、話が続かなくなってしまいました。

面接で「キャリアコーチングを行った内容について、具体的なエピソードを教えてください」という質問を受けました。

私は2019年から2025年5月現在まで、人材派遣を行うクライアント法人に対して障害を持つ方の雇用支援を行っており、入社された15名の社員の皆さんに対して本人の強みを客観的に整理すると共に、求められるスキルとのマッチングやフィードバックをそれぞれの求めに応じて実践してきた旨を説明しました。

しかし、面接官から「そういうことではなくて、具体的なエピソードとして説明してください」と返され、話が続かなくなってしまいました。

この経験から、質問の論点が不明確であることの問題点を改めて実感しました。面接官が何を求めているのかが分からず、双方にとって時間の無駄になってしまったのです。

効果的な面接質問の作り方

論点を明確化した質問設計

効果的な面接を実現するためには、まず質問の目的を明確に言語化することが重要です。

「具体的に教えてください」ではなく、「誰に対して」「いつの時期に」「どのような課題に対して」「どのような行動を取ったのか」といった具体的な要素を質問者側が整理して提示する必要があります。

質問の設計段階で5W1Hを面接官側が明確にすることで、候補者は適切な回答をしやすくなり、面接官も求める情報を正確に収集できるようになります。

質問する側の気づき

Amazonに学ぶ構造化面接

優れた面接手法の例として、Amazonの構造化面接が挙げられます。

Amazonでは行動を具体的に確認する選考プロセスが明確化されており、人事担当者だけでなく現場社員も面接に参加します。重要なのは、質問者側が具体的に定義しながら深く確認していくプロセスを取っている点です。

「なぜそのような行動を取ったのか」「その行動を取った結果、どんな反応があったのか」といった質問を通じて、組織の価値観に合うかどうか、会社の行動指針に照らし合わせて適切な行動が実施できているかを明確な目的意識を持って確認しています。

STARメソッドを活用した質問テクニック

より具体的な質問手法として、STARメソッドの活用をお勧めします。

Situation(状況): 「どのような状況でしたか?」 Task(課題): 「その時のあなたの役割や課題は何でしたか?」
Action(行動): 「どのような行動を取りましたか?」 Result(結果): 「その結果、どのような成果が得られましたか?」

このフレームワークに沿って質問することで、候補者の経験を体系的に理解でき、評価の一貫性も保つことができます。数値的な結果まで確認することで、より客観的な評価が可能になります。

改善された面接質問の具体例

主体性を測る質問の改良版

Before: 「あなたの経験について具体的に教えてください」

After: 「論点が不明で問題が混在した出来事を一つ挙げて、その状況をどのように整理し、どのような行動を取ったか教えてください」

問題解決能力を測る質問

段階的に深掘りする質問の組み立て方も重要です。

  1. 「過去に直面した最も困難な問題は何でしたか?」
  2. 「その問題を解決するために、どのような分析を行いましたか?」
  3. 「具体的にどのような行動を取りましたか?」
  4. 「その結果、問題はどの程度解決されましたか?」

このように段階を踏むことで、候補者の思考プロセスと行動パターンを正確に把握できます。

まとめ:質の高い面接を実現するために

「具体的に教えてください」という曖昧な質問を避け、論点を事前に具体化することで、面接の質は劇的に向上します。

重要なポイントは以下の通りです:

  • 質問の目的を明確に言語化する
  • 5W1Hを質問者側が整理して提示する
  • STARメソッドなどの構造化されたフレームワークを活用する
  • 企業の価値観や行動指針と照らし合わせた評価基準を設定する

これらの改善により、選考の再現性が高まり、相互理解を深める質の高い面接が実現できます。優秀な人材の獲得と、企業の信頼性向上の両方を同時に達成することが可能になるのです。

面接は企業と候補者の相性を見極める重要な場です。曖昧な質問ではなく、明確で構造化された質問を通じて、真に価値のある採用活動を実現していきましょう。

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