シェア分析・数値管理手法


顧客のインストアシェアを向上させるためには、適切なマーケットシェア分析を行うことが必要です。

まず、市場シェア、国内シェア、世界シェアなど必要な市場規模を決めたうえで、
金額や販売数などの計算値の基準を明確にします。
そして、ショッパーへの付加価値や嗜好性の分析を基にした、本当の競合製品は何なのかといった市場の再定義を行いましょう。

例えば、飲料のレッドブルにおいては、缶飲料のカテゴリにおいては数%シェアですが、エナジードリンクのカテゴリにおいては圧倒的な強者です。極端な例ですが、見方を変えると自社商品の強みが発見できます。どのような消費者に自社商品が好まれているかを様々な角度から検証し、適切な市場を再定義してください。そして、その市場規模と今後の展望も含めた数値も用意できると尚いいです。
また、シェアにより量販店に対する交渉力が大きく変わってきます。10−15%のシェアで交渉力を保って商品展開できるレベルです。20%を超えてくると競合他社製品も含めたカテゴリーマネジメントを提案できる可能性が見えてきます。40%を越えると、カテゴリーのスタンダードと呼べる立ち位置ですので、優位性を保って交渉に臨めます。ただ、新たに製品のカテゴリーそのものを食ってしまうような商材やカテゴリーが現れる可能性がありますので、慢心は危険です。

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次に、シェア分析を行ったうえで、顧客のインストアシェアを向上させる手法についてです。
自社商品のマーケットシェアと顧客におけるインストアシェアを確認しましょう。顧客におけるインストアシェアがマーケットシェアよりも低い場合は、ここを上げることが最優先課題です。

そのうえで、インストアシェアが低い要因を探ります。
「似た特性を持つ競合製品が売れている」「棚割りで優位な場所を競合に占拠されている」「競合製品の会社のバックアップが強い(社運をかけた製品展開など)」など、
様々な要因が考えられますが、自社商品をSWOT分析し効果的な提案を継続して行うことで通常は解決できるはずです。
自社商品のインストアシェア拡大のための最も手軽で効果的な手法は、自社製品と同様の特性を持ち売り場での貢献度が劣っている競合製品を、売り場から外すように提案することです。
また、自社商品がマーケットシェアにおいても優位性が保てているのであれば、取り扱わないことによるデメリットは理解してもらいやすいでしょう。

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自社商品の売上高において、それぞれの顧客(量販店)別の売上比率がいびつになっていないか、営業Mgrは注意すべきです。
ある特定の顧客(量販点)に売上が偏ってしまっていると、交渉の際にシビアな価格交渉を強いられるリスクが高まるためです。大きな取引先であっても、会社の売上の15%以上を握られるような取引は慎重に行いましょう。こういった状況に陥ることを避けるためには、
・他社にマネのできない商品を作る(高い技術力、特許で法的なバリアを作る、など)
・他の顧客での売上高を増やす
といった方法でしか対処できません。取引をやめるという方法もありますが、あまり現実的ではないでしょう。

バイヤーにとっては、自らの強みを活かした交渉を進めていくために、カテゴリにおけるメーカーの優先順位付けを行っています。
先ほどの売上比率が特定の企業に偏ることによる、交渉力の低下は量販店においてもあてはまります。
トップシェアのメーカーであってもシェアが15-20%程度で、シェアの高いメーカー3-5社の力が拮抗している状態であれば、量販店のバイヤーは優位性を保って交渉を進めることができます。商品の替えが効きやすい状況にあるためです。ただ、主要メーカーが少なく、トップシェアの企業が半分程度シェアを持っている状況となると、バイヤーは交渉に苦労します。このような状況においては、2番手や3番手のメーカーは自社商品を利用してトップシェアの企業の影響力を低下させましょうという提案は有効的です。

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