経営の実行プロセスである組織マネジメントにおいて、その要素である経営資源は大きく「ヒト、モノ、カネ、情報」に分けることができます。その経営資源の全体像である経営を捉えるうえで、会計は有効なツールの一つです。
つまりどのような仕事を行ううえであっても、企業活動の全体像を捉える必要がある際は、会計というツールを活かすことは意味が大きいと言えます。
また、4つの経営資源には、短期的に企業に流入しては流出する「フロー資源」と長期的に繰り返して使い続ける「ストック資源」があります。
フロー資源には、原材料や製品、外注サービスや利益配分などが含まれます。ストック資源には、人材や資金、設備や技術などが含まれます。
事業活動を開始する際に持っているストック資源を、事業期末に増やすことができていれば(お金の量を増やせた、従業員の仕事の能力が向上した、など)、企業が成長したと判断できます。
ストック資源を増やすために、フロー資源が投入されます。フロー活動とは、ストック資源を得るための事業期間における事業プロセスです。
「企業の目的は、利益を稼ぐこと」ですが、上記の説明をふまえると「どの経営資源を重視するかは別にして、企業はストック資源の質量を増やすことを目的としている」と言い換えることができます。どのストック資源を重視し企業活動を行うかは、経営者の考えにより異なってきます。
ここで、BS/PLについての説明です。
BS(バランスシート、貸借対照表)
→残ったストック資源、フロー活動の結果であるストック
PL(Profit & Loss Statement、損益計算書)
→ストックを増やすため、期中の儲けを示すフロー
これらをカネという尺度でリスト化したものが、財務諸表(ここでいうBS/PL)です。ヒトについてはストック資源ではあるものの、企業の所有物ではないということで、BSではなく人件費としてPLに記載されます。同様に、ノウハウや技術といった情報資源についても、ヒトに依存する場合はBSに記載されません。ただ、特許やライセンスといった形で資産計上できる場合はBSに記載されます。
BSには、「総資産」、「総負債」、そしてその差額である「資本」が記載されます。総資産は「流動資産(現金)」、「固定資産(建物や車)」と2つに分けて記載します。総負債においても、「流動負債(一時的な借金)」、「固定負債(社債やローン)」と2つに分けます。
資産であるストック資源から、負債であるストック資源を引いた資本を、要素ごとにわかりやすく判断するための表がBSです。
PLとは、ストックを増やすためのBSの期首と期末の期間における儲けを示すフローリストと説明しました。期間における「売上ー経費=利益」を、要素ごとにわかりやすく判断するための表がPLです。
営業活動における売上から、経費を引いた数字が営業利益です。そこに、営業外で得た利益(株や土地収入など)を加えた数字が経常利益です。そこから、税金などの費用を引いた額が、純利益となります。
この要素の数字の大きさやバランスに注目し意味を理解することが、会計というツールを使いこなす上で重要なポイントです。
次回は、職種ごとの会計ツールの活かし方についてお伝えします。